単語や熟語は分かるのに、文全体の意味が分からなくなったり、早口でどんどん話されると、聞こえるのは自分の知っている言葉だけ。
「この日本語は英語でどう言う?」という情報をいくら読んでも、自分の意思や考えを自由に英語で表現するには程遠い。
そんな人にぜひ考えて欲しいポイント:
[意味・情報のカタマリ = 品詞]を常に意識する事で英語が「スラスラ」になる!
この点は、僕自身英語が分かるようになった理由なので、以前にもこのブログで考えてきた。
「日本語を介さずに情報をそのまま処理」する重要性に深く関わる部分でもある。
そうは分かっていても実際にどうすれば良いのか?
具体的に詳しく説明しよう。
なぜ英語が分からないのか?
言葉が理解できない理由にはいくつかある。
もっとも明白なのは、「知らない単語」だ。つまりそれを知れば解決する問題。単語や熟語をどんどん覚える。動詞や前置詞のニュアンスに注意して理解していく。
それは大変だけれども、難しくは無い。ある程度は自分で出来る部分だ。
本当に難しいのは以下の2点だ:
- 英語がどこで切れているのか分からない
- 英語の語順についていけない
ベラベラっと話されたり、長い文、挿入部分がたくさんあるセンテンスを読んでいる時、または、抽象的な概念を話したい時に分からなくなるのは、だいたいこの2点が原因だ。

品詞は情報のカタマリ
これはもちろん英語に特化した事では無いが、言葉を使うのは情報を交換したいからだ。そして情報にはカテゴリー、カタマリがある。
例えば、文章を明確にするためには、いわゆる5W1Hを意識すると言われる。
誰が (who)、何を/どうしたのか(what)、何時 (When) 、どこで (Where)、どのように (How)、なぜ (Why)。
つまり必要な情報のカタマリをきちんと入れろと言うことだ。
同じ様に、一つの文の中でも必要な情報は同じだ。
S (Subject = 主語/誰が)
V (Verb = 動詞/アクション)
O (Obect = 目的語/何を)
C(Complement = 補語/補足情報)
というそれぞれの種類の情報のカタマリだ。
品詞や文型などと言い出すと、文法嫌いの人は難しいものだと思いがちだが、単に提供してくれる情報の意味のカタマリと種類と考えよう。
基本的には文はすべて同じ
ここで、文型のパターンを覚えよう、などとは言わない。
注意するのはとりあえず主語と動詞。それだけだ。
必ず最初に「誰が、何が」の情報がくる。次が「アクション」の情報。
基本的に全ての文は、Sがあり、Vが来るという全くシンプルな構造なのだ。
実際の会話では、だらだらと前置きの補足情報が続く事もあるかも知れない。
また、代名詞が「主語」としてとりあえず文頭に置かれて、のちに説明が来ることもある。
あるいは主語のカタマリ自体が大きくなって、「動詞」が見付け難くなる場合もある。
そんな場合でも、常に文の基本の「主語」と「動詞」がきちんと認識しておく練習を積めば、どんなに複雑でも、あるいはまとまりなくダラダラと話が続く時でも、シンプルな構造が見え、文の意味を明確に理解できる。

語順は情報が伝わる順番だ
英語も日本語も、情報のカタマリを一つづつ受け取って理解していくことは同じだ。情報の順番が違っても内容は変わらない。
語順の違う言語を「翻訳」するためには順番を入れ替えなければならない。しかし単に内容を理解するためには、順番は関係ない。英語の順番に慣れてしまえば良いのだ。
こう考えると、英語がスラリと頭に入ってこないのは、日本語をわざわざ使うために、順番を入れ替える作業に時間を取られているのが分かる。
具体的な例を使って考える
上記のポイントを具体的に、難しく、長い文の例で検証しよう。ゲゲッと恐れずに、良くみると以外に簡単に文の切れ目、構造が分かる。
Probably the most dangerous thing about an academic education–least in my own case–is that it enables my tendency to over-intellectualise stuff, to get lost in abstract argument inside my head, instead of simply paying attention to what is going on right in front of me, paying attention to what is going on inside me.
“This is Water” David Foster Wallace
(有名卒業スピーチである「これは水です」を分析、読解するシリーズもぜひ読んで見て。)
原文はこちらを。
品詞の分析
ほとんどの場合、文の最初は主語だ、つまり名詞、名詞のカタマリ/節だ。
Probably (恐らく), the most (最も), dangerous (危険な), と形容詞が続いている
そして最初の名詞、thing (もの)が出てきて、これが「Subject 主語」なのが分かる。
主語のカタマリは文の動詞が出てくるまで続く。
about は動詞ではない、つまり、主語についての情報が続くことが分かる。「最も危険なもの」が何についてなのか説明だ。
academic education 学問の教育
ハイフンは挿入を示す。挿入 = 文の基本の構造外
—least in my own case— 少なくとも私の場合は
「最も危険なもの、学問に教育に関して」という名詞の形の主語が情報として伝わった。
ここで初めて動詞の is が登場する。これがこの文の構造だ。
IS はイコール。つまり主語と is の後、ここでは that 以下が同じであることを意味する。
that 以下の文は主語の説明だ。文の中の文が始まるので、独立した一つの文として考える。
It が主語、(=academic education)
動詞 enable 可能にさせる
to over-intellectualize stuff
「物事を知的に考えすぎること」(to で括った名詞のカタマリ)
そして、コンマの後の to get lost in abstract argument inside my head
は上記の to と並列で、enable to 「私の頭の中での抽象的な議論に没頭すること」
in stead of の代わりに、はさらなら説明であり文の構造には影響がない。
次の paying と、ing がついた動詞(動名詞)が2回出てくるが、これも形容詞的な補足説明である。
「A に注意を払うかわりにB に注意を払って」となる。
語順についての考察
こんな文を日本語に訳そうと思うと、文の後尾から戻りながら自然に日本語に直さなくてはならない。
それでは、この英語を聞きながら素早く理解していくのは無理なのが良く分かるだろう。
要は言っている内容の情報が伝われば良いわけで、日本語ではなくとも問題はない。
簡単に構造だけみると:
主語はこの事実です、この事実とは、以下のことを可能にすることです。こうすることと、こうすること。Aの代わりにBをして。
となる。この順番で情報のカタマリを入力していけば良いのだ。
まとめ
感じが分かってもらえただろうか?もちろん、かなりの練習をして英語のパターンに慣れることは不可欠だ。
でも、品詞を意識して文の構造を明確にするのに慣れると、どこで文が切れ、意味のカタマリを理解できるようになり、必ず英語がスラスラを頭に入ってくるようになる!
また自分で言いたい概念を英語として構築する時もこの訓練はものすごく役にたつ。
こんな英語の論理的な側面は、自分の言いたい事を整然と構築して議論を進めるのに適している言語だということを感じる。
僕が英語が好きな理由の一つだ。
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