ポピュラー小説で英語の表現を見たり、フレーズの使われ方のニュアンスなどを徹底解説しながら一緒に読もう。挿入や引用のため、全体の文の構造を見失わないように、かつ英語の語順で理解するのだ。
今回の使える表現は:
fearmonger 恐怖を煽る人
I am into ~ に凝っている
Sketchy ヤバそうな
実際の文脈の中で読んでみよう。
「初秋」ロバート B. パーカー
Giacomin was, in his wife’s phrase, “a whoremonger” and, his wife said, was very active among the younger women in his office and elsewhere.
ジャコミンは、奥さん自身の言葉を引用すると、「色気違い」で、彼の事務所はもとより、そこら中で若い女性たちと遊びまわっていると言う。

この文は、挿入、そして引用があるために一見分かりにくいかも知れない。簡単に整理すると:
Giacomin was a whoremonger, and he was very active.
こういった英語的な挿入や引用のパターンやリズムに慣れよう。そして、英語の語順で入ってくる情報をそのまま、日本語に直さず、頭の中で作り上げる練習をしよう。そのためには、自分で音読する練習は効果的。
Whore とは売春婦だが、「節操の無い、誰とでも関係をもつような」女性を全般的に意味する場合もある。
Monger は元々は古めの、「〜売り、〜屋さん」という意味で、例えば fishmonger = 魚売り、などと言う言葉がある。最近の使いかたは、どちらかと言うと良く無いものを「貪ったり、広めたりする人」の意味で使われる。Warmonger = 戦争をやりたがる人、rumormonger = 噂を広める奴、等。また、fearmongering 「恐怖感を煽る行為」と言うようにも使える。
I looked at his picture. Long nose, small eyes, big droopy mustache. Hair worn medium length over the ears.
俺は奴の写真を眺めた。長い鼻に、小さな目、そして大きく、垂れた口髭。髪は中ぐらいの長さで 耳に被っている。
髪型を、wear =「着る、付ける」 と言うのは英語的だよね。
On the back, I read his wife’s description: 6′ 1″, 210 – 225 (weight varied depending on how much he was drinking and exercising and dieting).
写真の後ろの奥さんによる容姿の説明を読んだ:6フィート1インチ、ツー・ハンドレッド・テンからツー・ハンドレッド・トェンティ・ファイヴ。(体重はどれだけ飲酒しているのか、運動しているのか、ダイエットしているのかによって変わる)
「’」がフィートで「”」がインチを表すのは覚えておこう。
体重の数値の発音の仕方を確認するために、あえてカタカナ表記した。以下の投稿を復習しよう。
He had been a football player at Furman and still showed signs of it.
昔はファーマン大学でフットボールの選手だった面影が今でも伺えた。
I had a picture of the boy too.
息子の写真もあった。
He had his father’s nose and the small eyes.
鼻と小さな目が父親に似ている。
His face was narrow and sullen.
顔は細くて不機嫌そうだった。
His dark hair was long.
色の濃い髪は長い。
His mouth was small and the upper lip formed a cupid’s bow.
口は小さく、上唇は”M”の形を作っている。
上唇の中央の「M」の形が、天使が持っている弓のようにくっきりしているのを “Cupid’s bpw” と呼ぶ。
I looked again at my watch. Eleven thirty.
俺は腕時計をもう一度見た。11時30分。
He probably wasn’t into morning sex.
朝のセックスは趣味では無いらしい。
I am into ~ = ~に入り込んでいる = に傾倒している = が好き、を好む
I didn’t know what she looked like.
相手方がどんな容貌なのかは知らなかった。
There was no picture available and Patty Giacomin’s description was sketchy.
写真は無かったし、パティー・ジャコミンの描写は粗雑なものだった。
Sketchy は文字通り、「スケッチしただけの、まだ完成していない、充分ではない」と言う意味から派生して、「信ぴょう性の無い、当てにならない」、俗語的に「ヤバそうな」という意味までカバーする。

He looked very sketchy. その男はすごくヤバそうな奴に見えた。
Blond hair in a curly perm, medium height, good figure.
ブロンドのくせ毛パーマ、中ぐらいの背丈、体型は良い。
“Busty,” Patty had said.
「豊満な胸」とパティーは言った。
I’d called Giacomin’s office at nine, nine thirty, ten of ten, and she’d not been in.
俺はジャコミンの事務所に9時、9時半、そして10時10分すぎに電話したが、女はまだ出社していないとのこと。
Neither had he.
奴もまだ出社してはいない。
Neither had he. を普通の文に直すと、
He had not been in, either. となる。
否定のNeither を頭に持って行って動詞と主語を逆転させる、というややこしい例。自分で使う事は難しいかも知れないが、会話に出てきた場合は、否定の文である事を理解して、疑問文のように逆転している動詞、主語に惑わせられなければ大丈夫。

Did you see Yojo today?
今日、ヨージョー見た?

No, I didn’t see Yojo, did you?
いや、ヨージョー見てない、あなたは?

Neither did I.
僕も見てない。
No one knew when to expect either.
いつ出社予定なのかも誰も知らなかった。
I looked at my watch again. Eleven thirty-five.
俺はもう一度時計を見た。11時35分。
I was sick of sitting.

座っているのには飽々だ。
I pull the MG up around the corner onto Heath Street and parked and walked back down to the apartment.
俺はMGを廻し、角を曲がりヒース・ストリートまで移動して駐車すると、例のアパートまで歩いて戻った。

“Pull up” って言う表現も面白いよね。馬車の頃の表現なのだろうか?馬車を「そこまで引き出す」みたいな感じで。「車を〜まで移動させて停める」
On the directory inside the outer doors Elaine Brooks was listed on the third floor, apartment 315.
外側のドアを入ったところにあった住民のリストによるとイレイン・ブルックスは3階、アパート番号スリー・フィフティーンに住んでいた。

I pushed the buzzer.
ブザーを押す。
Nothing happened.
何も起こらない。
I pushed it again and held it.
俺はもう一度押すと、そのまま押し続けた。
After nearly a minute a thick female voice said hello through the intercom.
ほぼ1分後に寝ぼけたような女性の声がハローと言うのが聞こえた。
The voice had been sleeping one minute prior.
1分前には寝ていた声だ。
まとめ
いかにも私立探偵的な行動の描写が続きます。今までの投稿でカバーした、what を使って意味のカタマリを作る例、I didn’t know what she looked like. や、depending on などの表現が頻繁に出てくる。どうだろう?だんだん英語的な情報の伝え方に慣れてきただろうか?
新しい表現は以下:
fearmonger 恐怖を煽る人
I am into ~ に凝っている
Sketchy ヤバそうな
Pull up ~ まで行って停める
先ほども言ったが、一旦意味を理解したら、自分で音読してみよう。そして読みながら情報が頭の中に入って行く順序、リズムに慣れよう。
コメント