さてシリーズ15回目の洋書読解、徹底解説付きで読み進めよう。
今回は「仮定法」。ゲゲーッという反応が多い、多くの人が苦手と感じる英文法だが、実はあまり難しくはない。会話の中でもかなりの頻度で出てくる表現なので簡単にまとめてしまおう。
また、”Not exactly” や、”tired of“、”Why don’t I ~” など、実際にすぐに使える表現を覚えよう。
今回は会話のやりとりが中心なので1ページ以上カバーしました。
「初秋」ロバート B. パーカー
“The kid ain’t here. Now get the hell out of here or I’m going to throw you down the stairs.”
「子供はここには居ない。さっさと出て行かねえと。階段から投げ落とすぜ」

”Ain’t” のニュアンスに付いてはこの投稿を参照
“Now I told you. We have to talk. I am very stubborn. Maybe I’ve lost my sex appeal, but I’m still stubborn. I am going to find that kid and I’m pretty sure you can help.”
「言っただろう。話し合いだ。俺はとっても頑固なんだ。セックスアピールはもう失くしたかも知れないけれど、頑固なのは変わりがない。俺は必ず子供を見つける。そのためにお前が役に立つのは確実だ」
Giacomin was looking at me. He was a big guy and he’d played football, and he was probably used to being tough.
ジャコミンは俺を観察していた。奴はガタイが大きく昔はフットボールをやっていた。おそらくケンカ慣れしているのだろう。
But he probably also knew something about physical potential from his old football days, and I thought he had a suspicion that he couldn’t throw me down the stairs.
しかし、同時に、昔のフットボール時代の経験から、身体的な能力についてもある程度の理解があるはずだ。 奴には俺を階段から投げ落とす事が出来る自信は無いと俺はふんだ。
因みに手持ちのペーパーバックでは、上記の “I though he had a suspicion ~” が “I think he had a suspicion ~” と間違えている。出版社のミスなのか、パーカー氏のミスなのか?あなたのコピーはどう?
“I don’t know where he is,” Giacomin said.
「あの子がどこに居るのかは知らない」とジャコミンは言った。
“Are you worried at all about the fact that his mother doesn’t know either?” I said.
「子供の母親も居場所を知らないのは全く心配では無いのか?」俺は言った。
“She tell you that,” he said.
「あの女はそう言うのか」と奴は言う。
“Not exactly. She told me he was with you.”
「いや、正確には子供はお前と一緒に居ると言った」

“Not exactly.” 「正確にはそうではない」
はかなり使える「あやふや」表現だ。
“Well, I told you before he’s not. Now are you going to leave or am I going to call the cops?”
「子供は俺の所には居ないとさっき言っただろう。さあ、出ていけよ、それとも警察を呼ぼうか?」
“You are going to call the cops,” I said.
「お前が警察を呼ぶのか」と俺は言った。
“You think I won’t?”
「電話しないと思うのか?」
“I think you won’t.”
「しないだろうな」
“You think you can stop me?”
「俺を止められるとでも思うのか?」
“I don’t need to. I don’t want to. I enjoy meeting policemen. Sometimes if you are good they let you play with their handcuffs.”
「止める必要もない。止めたくもない。警察官に会うのが好きなんだ。良い子にしてると時々手錠で遊ばせてくれる」
He looked at me. Elaine Brooks looked at me. If there’d been a mirror, I would have looked at me.
奴は俺を見つめる。イレイン・ブルックスも俺を見つめる。鏡があったら俺も自分を見つめただろう。
仮定法なんて言うと難しく聞こえるけれど、簡単に言うと、
「真実に即してない事を仮定する場合に、時制を一段階、過去にずらす」
だけの話だ。
現在→過去
過去→過去完了(ダブル過去の説明を思い出そう)
この文は過去形なので過去分詞形にずらされている。もしこの文が現在形だったならば;
If there was a mirror, I would look at me.
となる。
But there wasn’t. So I looked at them.
でも鏡は無いので俺は奴らを見つめた。
In the quiet I could hear a television playing.
シンとした中でテレビの音が聞こえた。
It didn’t seem to be from downstairs.
下の階から聞こえてくるようではない。
“Look, Jack. I’m getting pretty tired of you,” he said. “What is it you want?”
「おい、お前。良い加減にしてくれよ。何が目的なんだよ。」と男が言った。
Tired of ~ = 〜に疲れた = 〜は十分 = いい加減嫌になる = 飽きる
“I want to take your kid back to his mother,” I said. “I told you that already.”
「お前の子供を母親の元に連れ戻したい。すでにそう言っただろう」と俺は言った。
“And I told you he ain’t here.”
「だから、子供ここには居ないって言っただろ」
“Why don’t I look around and prove it to myself,” I said.
「では、自分で見て回って、確認させてもらうぜ」と俺は言った。
Why don’t I ~ とは非常に英語的な文だ。
Why don’t you ~ は、他人に対する提案としてよく聞くが、自分自身に当てはめ、「〜するかな、〜させてもらうかな」的な表現になる。
”You got search warrant?”
「捜査令状はあるのか?」
“A search warrant? You gotta stop watching Starsky and Hutch,” I said.
「捜査令状?お前、スタースキーとハッチの見過ぎだぜ」と俺は言う。
“Starsky and Hutch” とは70年代後半のアメリカの警察テレビドラマ。ウィキペディア参照。
“I’m not a cop. I don’t get search warrants.”
「俺は警察じゃない。捜査令状なんて取りはしない」
まとめ
事実ではない事を推測する・仮定する場合の時制のシフト。分かったかな?こうして実際の文で見ると難しくはない。往々にして英語勉強する際に、「難しい学問」と考える事があるが、一般に誰もが使う言葉であるわけなので、落ち着いて考えると以外に簡単。しかも文が面白いと吸収も早い!
次回が待ち遠しい?!
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