[一緒に洋書16] 言葉遣いのニュアンスを小説から読み取ろう

exercise 英語レッスン
In or out of shape

対峙する場面の言葉の駆け引き。自信も、経験も豊富な主人公の粋なセリフ。楽しくてサクサク行けます。 ロバート B. パーカーのハードボイルド私立探偵小説を読み進もう。

今回は、Why not のニュアンスAll you have to do ~ の表現Kick ass のスラングの感じOut of shape の範囲Worthを使った表現、少し古い俗語の swellなど、使える表現満載!

(最初から読みたい人はこちらから。)

「初秋」ロバート B. パーカー

You can’t just walk in here and search my house,” he said.

「勝手に俺の家に入ってきて捜査なんて出来るわけが無いだろ」と奴は言った。

Why not?

「出来るぜ」

アナ訳

Why not? は「出来ない理由を説明して」=「あきらかに出来る」=「やらない理由はない」=「何でダメなの?」=「是非やろう」とう感じだ。

We looked at each other some more. I was pretty sure the kid was there.

にらみ合いがさらに続く。子供がここに居るのはほぼ確実だ。

If he wasn’t, why not call the cops?

子供が居ないのであれば、警察を呼ぶだろう。

補足

Why wouldn’t he call the cops if the kid wasn’t there? を省略している。

All I have to do was to stay there. They’d bend.

俺がここから動かなければ良いだけだ。奴らが先に折れる。

Yojo
Yojo

ビートルズの “All You Need is Love” でおなじみの表現。

言い換えれば、「だけ only」の意味をいろいろな場面で表現できる:

Bugoo
Bugoo

All he did was sleeping.

彼がした事と言えば寝た事だけだ。

All I want is you.

僕が欲しいのは君だけだ。

All they care is to stop you from doing it.

彼らが懸念するのは君がそれをやるのを阻止する事だけだ。

All You Need Is Love (Remastered 2009)
歌の歌詞は忘れない

They wouldn’t be able to think of anything else to do.

妥協する以外、何も考え付かないだろう。

Giacomin stopped looking at me long enough to look at his girl friend.

ジャコミンは愛人の方を見る間だけ、俺から目を離した。

She didn’t have anything to offer. He looked back at me.

女には何も言う事がない。奴は俺を再び睨む。

Info

Offer は「提供する」、「捧げる」、「勧める」などのニュアンスだ。意見などを「提供する」から、「言う」、「申し出る」など、「発言する、意見を言う」意味で使えることを覚えよう。

“All right,” he said. “I had enough. Either you walk out of here now or I kick you ass out.”

「分かった。もうたくさんだぜ。ここから出て行けよ。そうでなければお前のケツを蹴飛ばして外に出すぜ」と奴は言った。

Note

Kick ass out はケツを蹴って外に出す、だが、Kick ass だけでも、文字通り、「ケツを蹴る」、そして比喩的に示唆する全てを含む。例えば「勝つ」、も口語的には kick ass を使えるし、日本語の「ぶっ飛ばす」に近い感じもある。また、「大成功」も kick ass で表現できたりもする。

Kick ass!

“Don’t do that,” I said. “You are out of shape. I’ll hurt you.”

「それは止めた方がいい。お前は運動不足だし、怪我することになる」

Note

Out of shape も文字通り、「太っている」という意味で使われると同時に、「運動不足」、や「トレーニングしていない」と言う意味でも使える。痩せた人でも運動不足で体力に自身がなければ、“I am a little out of shape.” という事も出来るのだ。

もちろん逆の in shape も同じように使える。

Giacomin looked at me and looked away. I know he wasn’t going to.

ジャコミンは俺を見て、そして目をそらした。俺は奴がケンカを挑まない事が分かっていた。

“The hell with it.,” he said with a small push-away hand gesture.

「どうでもいい」と、奴は小さく手を払うようなジェスチャーをして言う。

It’s not worth a fight. Take him. He is down the hall.”

ケンカする価値もない。子供は連れて行け。廊下を行った所に居る。

Info

この形容詞の Worth の用法は少し特殊だが、「〜の価値がある」という便利な表現だ。

It is worth の後には名詞か(動名詞〜ing)が続く。

例:My guitar is worth a lot of money. 僕のギターは高いやつだ。

例:It’s not worth it. / It’s worth it.

「それは、それに値しない」という事だが、フレーズとして「そんなことしてもしょうがない」、「それをする価値がない」と覚えてしまおう。会話でもよく聞く。

例:She is worth a look. 彼女は一見に値する。

小説の文は a fight、ケンカという名詞だが、「ケンカする事」と動名詞に置き換えても良い。

注意が必要なのは to fight (不定詞)は使わない事だ。

(正しい)It’s not worth fighting.

(間違い)It’s not worth to fight.

what is?
What is?

Giacomin gestured with his head.

ジャコミンは顎でその方向を指した。

He didn’t look at me or Elaine Brooks.

奴は俺の方も、イレイン・ブルックスの方も見ていなかった。

But the boy wasn’t down the hall. He was right around the corner around the dining room.

しかし、子供は廊下を行った所には居ずに、すぐそこのダイニングルームの角を曲がった所に居た。

He stepped into sight around the archway.

少年はアーチ状の入り口の角から姿を表した。

“Swell fight you put up for me, Daddy dear,” he said.

「僕のために勇ましく戦ってくれたんだね、お父上様」、と少年は言った。

アナ訳

Swell は「うねり」や「ふくらみ」という通常の意味に加えて、俗語では「素晴らしい」、「イカしている」という意味もある。

どちらかと言うと古いスラングではある。

「ダディ、ディア・親愛なるおとうちゃま」と意図的に言葉遣いを変えているので、「swell」もわざわざ古臭い言葉を使って、皮肉たっぷり感を上げていることを感じよう。

Note

Put up a fight = 敵の攻撃に対して立ち向かう。この文を通常の並びに変えると:

You put up a swell fight for me.

となる。

まとめ

ついに見つける事を依頼された少年を発見したスペンサー。今回はここで止めよう。次回で第3章が終わりそうだ。

今回もたくさんの表現が出てきた。どれも日常の会話でよく聞くものばかりだ。登場人物の感情や状況を考え、どんな言葉を選択して、どう言うように言っているのか、に注意しよう。

それを常に意識して感じていると、言葉とその意味ががっちり合わさって、聞くのにも、喋るのにも役に立つのだ

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