[一緒に洋書17] 一冊英語で本を読んでみよう。

Coat 英語レッスン
Kind of like a pea coat

さて今回で第三章の終わりです。「本を一冊、英語で読む」、なんていうと大変に聞こえるかもしれないが、ポピュラー小説は日常の会話がほとんで、難しくは無い。

どうしてこう書かれているのか、文化的なニュアンスは?ジョークの意味、スラングなど、徹底解説付きで読めば、実際に使える英語の強化に繋がる。

今回は、 be supposed to 、や、elaborate のニュアンス。See to it の表現などを押さえよう!

「初秋」ロバート B. パーカー

He was a short thin kid and his voice had a soft whine to it.

少年は背が低く、痩せた子で、声には鳴き声のような響が少しある。

Note

Whine とは犬がヒンヒンと鳴くような、豚が甲高い声で鳴くような、鳴き声、鼻声、といった感じの音だ。

不平をタラタラと半鳴き声で言う、という動詞としても使われる。

 He was wearing a short-sleeved vertically striped dress shirt that gaped open near his navel and maroon corduroy pants and Top-Siders with the rawhide lacing gone from one.

少年は半袖の縦縞のYシャツをヘソの辺りが開いたまま着て、あずき色のコーデュロイのパンツを履いていた。履いているデッキシューズの片方の革のヒモは無い。

Boat shoes
見出し

Top-Sider = Sperry Boat shoe = デッキシューズ

Giacomin said, “You remember who you’re talking to, kid.”

「誰と話しているのか考えて、よくわきまえろよ、おまえ」、とジャコミンは言った。

The kid smiled without humor. “I know,” he said.

少年は無表情な笑顔をつくり、「分かってるよ」、と言った。

“I know who I am talking to, Dads.”

「誰と話しているのか分かってるよ、父さん」

Giacomin turned away from him and was silent.

ジャコミンは息子からそっぽを向き、黙った。

I said, “My name is Spencer. Your mother sent me to bring you back to her.”

「俺の名前はスペンサーだ。君を連れ帰るように、君のお母さんに頼まれたんだ」

He shrugged elaborately.

少年はワザとらしく肩をすくめた。

アナ訳

Elaborate とは「意識的に」、「気を入れて」、「注意して」、「よく考えて」、「凝った」という意味だ。「良い」動機の場合もあるが「悪い」動機の意識的な動作もelaborateで表せるのが面白い。要は、カジュアルに行う動作ではなく、「考えて」行う動作だ

例:The design on the cover was elaborate.

例:Her mean attitude was elaborate.

I noticed that the pants were too big for him. The crouch sagged.

履いているパンツのサイズが彼には大きすぎるのに気づいた。 股が垂れ下がってしまっている。

“You want to go?” I said.

「行きたいかい?」俺は聞いた。

He shrugged again.

また肩をスクめる。

“Would you rather stay here?”

「ここに居る方が良いのかい?」

“With him?” The kid’s soft whine was full of distaste.

「父親と?」かすかな鼻声は嫌悪に満ちている。

“With him,” I said.

「そう、父親とだ」と俺は言った。

“Or would you prefer to live with your mother?”

「それとも君のお母さんと一緒に暮らす方が良い?」

“I don’t care.”

「どっちでも関係ない」

“How about you?” I said to Giacomin. “You care?”

「お前はどうだ?」俺はジャコミンに言った。「どっちがいい?」

“The bitch got everything else,” he said. “She can have him too. For now.”

あのくそ女は、その他の物全て自分の物にしたんだ。息子もくれてやる、今の所はな」、と奴が言った。

I said, “Okay, Paul. You got any stuff to pack?”

「オーケー。じゃあ、ポール、何か荷造りする物はあるのか?」

He shrugged. The all-purpose gesture. Maybe I should work on mine.

少年は肩をスクめる。このジェスチャーは何にでも使える。俺も練習した方が良いかもしれない。

”He’s got nothing to pack,” Giacomin said. “Everything here is mine. She isn’t getting any of it.”

「子供には何も荷造りする物なんてない」ジャコミンが言った。「ここあるものは全て俺のものだ、あの女には何も渡さない」

“Smart,” I said. “Smart, I like a man gets out of a marriage gracefully.

「賢明だな」、俺は言った。「全く賢明だ。離婚をソツなく出来る男は良い。」

“What the hell’s that supposed to mean?” Giacomin said.

「そりゃ一体どう言う意味なんだよ?」とジャコミンが言った。

Info

be supposed to ~ で、「〜をする事になっている」、「〜という取り決めになっている」、「〜と仮定される」を意味する。

強調の “the hell” に惑わせられないようにしよう。特に is の省略である ‘s が the hell にくっついているので一見分かりづらいかもしれないが、

What is that supposed to mean? それは何を意味する事になってるわけ?

というニュアンスだ。このフレーズはかなりの頻度で使われるので、使える表現なのだ。

“You wouldn’t know,” I said.

「お前には分からんだろう」と俺は言った。

“The kid got a coat? It’s about nineteen degrees out. I’ll see that she sends it back if you want.”

「この子は上着は持っているのか?外は19度だぜ(−7℃)。 上着を返して欲しいのなら、ちゃんと送り返すようにするぜ」

アナ訳

この “see” は、自分の目で「確認して見届ける」というニュアンスだ。

[使える表現]

I will see to it. それについては私が責任を持もって確認します。

Giacomin said to his son, “Get your coat.”

ジャコミンは息子に「上着を取って来い」と言った。

The boy went to the front hall closet and took out a navy pea coat.

少年は玄関口にある戸棚に行き、ネイビーのピー・コートを取り出した。

It was wrinkled, as if it had been crumpled on the floor rather than hanging.

コートはシワクチャだ。ハンガーに掛かっていたと言うよりは、床に丸めてあった感じだ。

He put it on and left it unbuttoned.

少年はボタンをしないまま羽織った。

I opened the door to the stairs and he walked through it and started down the stairs. I looked at Giacomin.

俺は階段へ続くドアを開け、少年はドアを抜けて階段を降り始めた。俺はジャコミンを見た。

“You’ve gotten yourself in a lot of trouble over this, Jack, and don’t you forget it,” he said.

「お前はこれで済んだと思うなよ、タコ。覚えてやがれ」と奴が言った。

アナ訳

このおかげでお前は問題を抱えた」が直訳だが、ここでの「問題」が指すのは「ジャコミンの復讐だ」。と言うわけで、「これでは済まない」となる。

Don’t forget it. に “you” を入れて強調している。

例)Don’t you do it! Never! = 君、これはするな!絶対にだ!

I said, “My name’s Spenser with an S, like the poet.

俺の名前はスペンサー。例の詩人と同じように綴りは「S」だ。

Info

The poet はイギリスの有名な詩人、エドモンド・スペンサーを指している。「Spencer」のように綴りが「C」の場合と区別しているわけだ。

“I’m in the Boston book.” I stepped through the door and closed it.

「ボストンの電話帳に載ってる」と俺は言い、ドアを抜け閉めた。

Then I opened it again and stuck my head back into the hall.

そして俺はドアをもう一度開け、頭だけを玄関ホールに突き出しだ。

“Under Tough,” I said. And closed the door, walked out.

「”タフな男”の見出しだ」と俺は言うとドアを閉めて外へ歩き出た。

コメント

今時、電話帳なんてものはあまり無いかも知れないが、昔は、例えば、電気修理屋が必要な時はイエローページ、職業別電話帳で「電気修理工」の項を探したりするわけだ。

その項目の一つとして、あるわけがない「タフな男」のセクションに連絡先が載っていると言うジョークだ。(Tough と大文字になっている事で、「タフ」が項目であることがわかる)

まとめ

第3章終わりだ!面白い本ならば読むのは苦痛ではない。話がだんだん進んでくると次が読みたくなってくるでしょう?

途中から読み始めた人、最初から読んでみない?

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