[一緒に洋書 21] セリフを覚えておけば、自分でもサッと使えるのだ

big deal 英語レッスン
BIg Deal?

ハードボイルドな男と、十代の子供との面白い会話が続く。口語的な表現の宝庫だ。例えば「気持ちワルーイ」の意味の “Gross“。思わず真似してウツってしまう、”Catching”皮肉で言う、”Big deal!” などすぐに使えるフレーズを文脈で完全理解。また、“suppose” のカジュアルな使用例や、会話での仮定法の解説。

単に小説を翻訳していくだけでなく、言葉の背景やニュアンスを感じて、英語を身につけよう。

前回からの続きです。

「初秋」ロバート. B パーカー

I turned off of Route 28 onto Route 128 South, toward Lexington.

俺はルート・トェンティエイトを降り、レキシントンに向かって、ルート・ワントェンティエイト、サウスに入った。

“I also think it’s bad form to talk about your mother that way to a stranger.”

それに、知らない人に対して、自分の母親の事を、そんな風に話すのは良い事ではない、と俺は思う。

アナ訳

bad form = 悪い型 = 行儀が悪い = 品が悪い = 良い事とは言えない

“Why?”

「どうして?」

“it’s not done,” I said.

「そう言うもんなんだ」と俺は言う。

アナ訳

It is not done (by people) = 人はそうはしない = 一般的にそうはしない

The kid shrugged and stared out the window. He had one shrug left.

少年は肩をスクめて窓の外を見た。残りあと一回だ。

コメント

前ページに出てきた、「肩をスクめる動作が、我慢の限度を過ぎたら車を止めて、少年の頭を道路に叩きつけるで」、という独り言を受けている。

If my father had started to fight with you, what would you have done?

もし、僕のお父さんがケンカを始めたら、どうした?

コメント

またまた仮定法だ。If の部分で had started と時制をずらして、実際にはケンカをしなかったけれど仮定しているのを示している。しかし、「どうした?」の部分で正確には “what would you have done?” となるべきだが would となっている。口語では、そんなに気にしなくて良いのだ。

実際、スペンサーの応えの文では “I would have subdued him.” と正確な時制になっている。

“I’d have subdued him.”

「取り押さえてやっただろうね」

“How?”

「どうやって?」

Depends on how tough he is.

「どれだけ強いのかによるね。」

“He used to be a football player and he still lifts weights at the health club.”

「お父さん、昔はフットボールの選手で、今でもスポーツジムでウェイトトレーニングをしているよ」

I shrugged. It was catching.

俺は肩をスクめた。感染うつりやすいもんだ。

Yojo
Yojo

風邪に感染った、は I caught a cold. で、キャッチには「伝染する」という意味がある。また、例えば思わず歌ってしまう歌や、フレーズは “catchy” と表現される。

“Do you think you could beat him up?”

「お父さんを叩きのめす事が出来たと思う?」

“Oh, sure,” I said. “He is a big strong guy, I guess, but, I do this for a living. And I ‘m in better shape.”

「もちろんだ。大きくて強いかも知れんが、俺はこの道のプロだ。それに俺の方がトレーニングされている」、と俺は言った。

“Big deal,” the kid said.

「そりゃスゲー」と少年は言った。

アナ訳

Big deal = 大きな取引/賭け = 大したもの = すごいもの、えらい人、重大な出来事

このように皮肉として使われる事が多い

“I didn’t bring it up,” I said.

「俺が持ち出した話じゃない」、と俺は言った。

“I don’t care abut muscles,” the kid said

「筋肉とか興味がないよ」、と少年が言った。

 ”Okay,” I said.

「分かった」、と俺は言う。

“I suppose you think you are a big man, having muscles.”

「自分はガタイの良い筋肉マンだと自分で思ってるんでしょ、きっと」

Macho man
Info

Suppose は「仮定」だが、会話ではほぼ “think” に近い意味で使うことが出来る。

この文では、I think you think ~ となるのを避けるためでもある。

“I suppose you think you are smart.” あなたは頭が良いと自分で思っている事でしょう。

なんて言う文はよく使われるので、自分でも使えるようにシチュエーションを考えよう。

Bugoo
Bugoo

I suppose Toby thinks he is the boss of me.

トービーは俺の主人だと思っているんだろうな。

I think he does.

そう思ってるわよ。

Toby
Toby

Yes, I do. And I’m right!

そうだよ。そしてそれは正しい。

“I think it is useful to me in what I do,” I said.

「職業柄、役にたつとは思っている」と、俺は言った。

 ”Well, I think they’re ugly.”

「ふーん、僕は筋肉って醜悪だと思う」

I took my hands off the wheel long enough to turn my palms up.

俺はハンドルから手を離して、手のひらを上向けにすると、再びハンドルに手を戻した。

アナ訳

直訳すると、「手のひらを返すのに必要な長さだけハンドルから手を離した」だけれども、上記のように書いても実際に起こっている状況は、同じだ。

二か国語を話す時に、言葉自体にとらわれ過ぎず、実際の情報を考えると上手く行く、という良い例かも知れない。

”How come you’re a detective?” He said.

「どうして探偵になったの?」と、少年は聞いた。

“Like the man said, because I can’t sing or dance.”

「あの有名な男が言ったように、俺は歌うことも、踊ることも出来ないからだ」

Yojo
Yojo

この “the man” (例の男)が誰を指すのかが分かった人はスゴイ!相当な映画通ですね。僕は分からなかったので調べると:

スタローンの「ロッキー」で、「どうして戦うのか?」との質問に、こう答えるシーンがある。(古い!)

“It’s an awful gross job to me.”

「僕はサイテーに汚らしい仕事だと思う」

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「グロス」はカタカナでもおなじみの、総量、グロス・ウェイトのグロスだが、「気持ち悪い」という意味でよく使われる。特にこんな時の発音は「グロース」といかにも気持ち悪そうに発音しよう。

特にティーンエージャーなどが、すぐに「キモ悪い!」と言う感じで、何かにつけて、”Gross!”と言うのはよく聞く。

I made the same palms-up gesture. We were passing the Burlignton Mall.

俺はまた手のひらを返すジェスチャーをした。車はバーリントン・モールの側を通過中だ。

“What exit do I take?” I said.

「どの出口で降りるんだ?」と、俺は聞いた。

“Four and two-twenty-five toward Bedford,” he said.

「フォー。そしてベッドフォード方向へ、ツー・トェンティ・ファイヴ」と少年は言った。

“How come you want to do a gross job?”

「どうしてそんな汚らしい仕事なんかするの?」

“It lets me live life on my terms,” I said, “You sure you mean toward Bedford?”

「この仕事をしていると人生を自分で決めて生きられるからだ」、と俺は言った。「ベッドフォード方向で本当に良いのか?」

“Yes, I will show you,” he said. And he did.

「そう、僕が道順、教えるよ」と少年は言った。そして、そうした。

We turned off toward Bedford, turned right, and right again and over an overpass back toward Lexington.

ベッドフォード方向へむけて降り、右折、そしてまた右折し、高架道を渡って、再びレキシントン方面に向かった。

まとめ

反抗期の子供がわざわざ大人を苛立たせるような発言を、物ともせずにあしらうスペンサー。

腫れ物を触るような大人の態度とは違うスペンサーを、少年がどう受け取っていくのか、見ものです。

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