[一緒に洋書 26] 英会話での慣例的な「言い回し」のニュアンス

basketball game 英語レッスン
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スペンサーの恋人、スーザン・シルバーマンの登場だ。前回からの会話とは違うテンポ、内容だが、スペンサーらしい会話はそのままだ。恋人との皮肉的な冗談の軽い受け答えが楽しいが、ジョークは分かりづらい事が多いので、徹底解説しよう。

また、会話のパターンで、あまり意味はない言葉、例えば、”now” なども、実際には微妙なニュアンスを出している。小説で会話を学ぶのが効果的なのは、こんな部分でもある。

前回からの続きです。

「初秋」ロバート B. パーカー

It was Friday Night, and Susan SIlverman and I were at the Garden watching the Celtics and the Phoenix Suns play basketball.

金曜の夜、俺はスーザン・シルバーマンとガーデンでボストン・ケルティックスとフィニックス・サンズのバスケの試合を観戦していた。

Info

「Garden」はニューヨークの「マディソン・スクエア・ガーデン」のボストン版で、バスケの「ケルティクス」とホッケーの「ブルーインズ」のアリーナだ。

I was eating peanuts and drinking beer and explaining to Susan the fine points of going back door.

俺はピーナッツをつまみにビールを飲みながら、スーザンに、「裏口からの攻撃」についての微妙な点について説明していた。

I was having quite a good time. She was bored.

俺はかなり楽しくやっていたけれど、スーザンは飽きてしまっていた。

“You owe me for this,” she said. Susan had barely sipped at a paper cup of beer in one hand.

「あなた、これで私に借りが出来たわよ」、と彼女が言った。片手に持っているペーパーカップのビールはほとんど飲んではいない。

There was a lipstick half moon on the rim.

半月型の口紅の跡がカップのふちについていた。

“They don’t sell champagne by the paper cup here,” I said.

「ここじゃ、シャンペンを紙コップで売ってないんだ」、と俺は言った。

“How about a Graves?”

「グレーヴスは?」

Info

「Graves」は安い、アルコール度数の高い酒だ。シャンペンがダメなら、安酒なら売っているのか、というジョークだ。

“Do you want me to get beat up,” I said. “Go up and ask if they sell a saucy little white Bordeaux?”

「売店に行って、洗練されたボルドーの白を一杯頼む、何て言って、殴られて来いって言ってる?」

Champegne
場違いですな

Why is everyone cheering?

「何故、皆な歓声を上げているのかしら?」、と彼女は聞いた。

“Westphal just stuffed the ball backward over his head, didn’t you see?

「今、ウェストファルが後ろ向きにボールをバスケットに入れたんだ、見なかったの?」

アナ訳

Stuff は「詰め込む」と意味だが、例えば

I am stuffed. 私は詰め込まれた = お腹いっぱい

のようのな表現も出来る。ここでは、ボールをゴール(バスケット)に「詰め込む」、「バシッと入れる」感じだ。

“He is not even on the Celtics.”

「ウェストファルはケルティックスのチームじゃないのに」

“No. But the fans appreciate the shot. Besides, he used to be.”

「確かに。でもバスケのファンにとっては最高のショットだ。それに彼は元ケルティックスの選手だしね」

“This is very boring,” she said.

「すごく退屈」、と彼女が言った。

I offered my peanuts to her. She took two.

ピーナッツを勧めると、彼女は2粒取った。

“Afterwards I’ll let you kiss me,” I said.

「あとで俺にキスさせてあげるよ」

I’m thinking better of the game.

「そういう事なら、バスケ観戦も悪くない」、と彼女が言った。

コメント

Think better of ~” は 「〜についての好感度が上がる」感じだ。スペンサーの、Playful なジョークに乗って、軽くあしらっているのが良い。

Cowens hit an outside shot.

コーウェンズがアウトサイドショットをした。

“How come most of the players are black?”

「ほとんどの選手が黒人なのは何故?」スーザンが聞いた。

“Black man’s game.” I said. “Hawk says it’s heritage. Says there were a lot of schoolyards in the jungle.”

伝統的に黒人のゲームだ、とホークが言ってたな。ジャングルの中にはバスケのゴールがある校庭がたくさんあったらしい。

basketball court
ジャングルの中ですか?
Info

Hawk はスペンサーの友人で、たまに助っ人として登場するスタイリッシュな黒人のキャラクターだ。

She smiled and sipped at the beer. she made a face.

スーザンは微笑んでビールに口をつけた。不味そうな顔をしてみせる。

イディオム

Make a face = 「ゲーッ」というような表情を作る。

「顔を作る」という中立的な字義なのに、ネガティブな表情となるのが面白い

“How can you drink so much of this stuff,” she said.

「こんなものよくそんなに飲めるわね」、と彼女が言った。

コメント

前回にも出てきたけれど、”Stuff” は「モノ」だが、割と無造作に言及する、「そんなモノ」というニュアンスをだせる。

“Practice,” I said. “Years of practice.”

「訓練だ。長年のね」、と俺は言った。

Water Davis hit a jump shot.

ウォーター・デイヴィスがジャンプショットを打った。

“What were you saying before about that boy you found Wednesday? What’s his name?”

「水曜日に見つけた少年の話の続きはどうしたの?なんて言う名前?」

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“What were you saying about ~?” は、中断したり、脱線した話を戻すのに便利な表現だ。

バリエーションとしては:

“What were we talking about?” 「何の話ししてたんだっけ?」と言うのもある。

“Paul Giacomin,” I said.

「ポール・ジャコミン」、と俺は答えた。

“Yes,” Susan said, “You said you wanted to talk about him.”

「そうそう、あなた、その子について話したいって言っていた」

“But not while I’m watching the ball game.”

「うん、でも、バスケの試合を見ていない時にね」

“Can’t you watch and talk at the same time? If you can’t, go buy me something to read.”

「試合を観戦しながら同時に話すことは出来ないの?出来ないんだったら何か読むものでも買ってきて」

I shelled a peanut.

俺はピーナッツの殻を割る。

“I don’t know,” I said. It’s just that I keep thinking about him. I feel bad for him.”

「どうしてだか、その少年の事が頭から離れないんだ。気の毒なんだ、その子が」

コメント

I don’t know… 「なんというか、、、」、It’s just that ~ 「と、言う事なんだ」的に、あまり実際の意味はないが、会話のニュアンスや、気持ちによって出てくる表現だ。自分でも自然に出てくるレベルまで、体感して慣れよう!

 ”There’s a surprise.”

「それは驚きね」

アナ訳

ここに驚きがある = あら、ビックリ

“That I feel bad for him?”

「俺が少年に同情するってことが、か?」

“You’d feel bad for Wile E. Coyote,” Susan said.

「あなたが、ワイル E. コヨーテに同情することよ」、とスーザンが言った。

コメント

アニメの番組で、ロードランナーを捕まえようと試みるが、常に失敗しているコヨーテの名前だ。ここでは、「当たり前でしょ、あなたの事を言っているのよ」的な冗談だ。

You’d = You would の略。意思の “would” として使われている。

Westphal hit a left-handed scoop shot. Celtics were losing ground.

ウェストファルが左手でスクープショットを放った。ケルティクスの体勢が悪くなっていた。

The kid’s a mess,” I said. “He is skinny. He seems to have no capacity to decide anything. HIs only conviction is that both his parents suck.”

あの子の人生はめちゃくちゃだ。スカッリ痩せてしまって。自分では何も決める事が出来ない。確証があるのは自分の両親が全く最低って事だけだ。

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A mess とは散らかった状態や汚れを意味するが、同時に困難な問題に囲まれた、大変な状態、精神的に落ち込んでいる、不安定な状態も表現できる言葉だ。

例えば彼氏に振られた女性が取り乱している状態を、”She is a mess right now.”

と表現できる。

俗語

Suck は動詞として使われるが、意味的には「最低だ」となる。

例)The band sucks! このバンド、サイテー

“That’s not so unusual a conviction for a fifteen-year-old,” Susan said. She took another peanut.

「それは15歳の子供にとってはあまり珍しい確証では無いわね」、とスーザンは言い、ピーナッツをもう一つ取った。

“Yes, but in this case the kid may be right.”

「確かに。でもこのケースは子供の確証がおそらく正しい場合だ」

“Now you don’t know that,” Susan said. “You haven’t had enough time with them to make any real judgement.”

「まあ、それはちょっとまだ分からないんじゃ無い?」とスーザンが言った。「あなたは、両親を正確に判断できる程度、彼らの事を知っているわけではないわ」

アナ訳

この Now も、会話のリズムと微妙なニュアンスを醸し出す表現だ。

例えば、誰かがあなたに不公平な振る舞いをしたとしよう。そんな時に:

Now, that’s not fair!” 「ちょっと、それは不公平だろう!」

感じが分かるでしょ?

「ほら、ほら」とか、「まあ、まあ、ちょっと」の感じで “Now, now…” と言うこともできる。

The Suns had scored eight straight points. The Celtics called time out.

サンズが8ポイント、連続で得点し、ケルティックスはタイムを取った。

まとめ

こういった、意味があまり無いけれども、ニュアンスを伝える言葉は、英語に慣れていないと、分かりづらい事があるよね。Now とか、it’s just that… とか、言葉自体は簡単だけれど、その雰囲気、文脈をリッチに表現している場合がある。

英語のジョークは分かりづらい事が多いよね。英語の「ソウル」に慣れてくると、ジョークもわかってくるようになる。こうして小説をドンドン読んで行くのは効果的な学習法なのだ!

頑張って最後まで読みきろう。

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