[一緒に洋書 29] 何気ない会話が分からない?小説の会話を分析しよう。

Hamburger 英語レッスン
ハンバーガー・ロールなのかバンなのか?

何気ない自然な会話に慣れるのには、ポピュラー小説を読むのが効果的。そんな会話を理解するのが一番難しかったりする。今回は間投詞としての「say」、「some such ~」 、「dedicate」 と言う単語のソウル、「go down the tube」の意味、ハンバーガー・バンとハンバーガ・ロールの違い?、そして「who knows」 を使った仄めかしの表現などをみていこう。

「初秋」ロバートB.パーカー

“So what do you think you’ll do about it?” Susan said.

「じゃあ、あなたはどうするつもり?」、とスーザンが言った。

“Well, I’m not going to adopt him.”

「いや、養子にしようとは考えてはいないよ」

”How about a state agency. The Office for Children, say, or some such.”

州の機関に頼むのはどう?児童福祉所とか、そんなような所。

Info

Say を間投詞的に使うと、「言ってみれは」「例えば」「〜とかさ」のニュアンスで使える。会話の初めの切り出しとしても、「そう言えばさ」みたいに始めることもできる。

Some such ~ 「そんなような〜」  

ここでは「なになに」の部分が省略されているが、some such (place/office/agency) なので、「そんなような(所・役所・署)」だ。

Bugoo
Bugoo

Let’s go somewhere fun, say, the beach, or some such places!

どっか楽しい場所に行こうよ、ビーチとか、そんな所

”They got enough trouble fighting for their share of federal funds. I wouldn’t want to burden them with a kid.”

「そんな機関は連邦政府からの予算の取り分を確保するのに手が一杯だから、子供の世話をさせるような負担をかけたく無いんだ」

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Yojo
Yojo

これは、スペンサーの皮肉たっぷりなドライなジョークだ。

“I know people who work in human service for the sate,” Susan said. “Some are very dedicated.”

「州の福祉機関で働く人たちを知ってるけれど、中にはとても熱心な人達も居るわ」、とスーザンが言った。

アナ訳

Dedicate の訳は、「専心、献身、献納」あるいは「専用」など日本語にすると意味の幅があるように見えるが、言葉のソウルは「100%捧げる」、つまり目的に対して全てのエネルギーを注ぐわけだ。「専用」の意味も、物が、100%、一つの目的に対して使われる、と考えると理解しやすい。

ここでは「熱心な」と訳した。

例)This room is dedicated to my work needs. この部屋は仕事のための専用の部屋です。

“And competent?”

「その人達は有能でもある?」

“Some.”

「幾人かはね」

“Do you want to give me a percentage?”

「そのパーセンテージを教えてくれるかな?」

“That are dedicated and competent?”

「熱心でいて有能な人の割合?」

Dedicated and competent?

“Yeah.”

「そうだよ」

“You win,” she said.

「分かったわ、あなたの勝ちよ」、と彼女は言った。

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「州の施設に頼る」というスーザンの提案に対して「州の施設はロクでも無い」と考えるスペンサー、どちらが正しいのかという「勝負」はスペンサーの勝ちだ、ということ。

参ったわ」あるいは根負けして「ハイハイ、もう分かったよ」とも訳せる。

We turned onto Route 128. “So what do you propose,” Susan said.

我々はルート128に曲がって行った。「じゃあ、どうするつもり?」とスーザンは聞いた。

“I propose to let him go down the tube, ” I said. “I can’t think of anything to do about it.”

「少年をそのまま見放すつもりだ。他にはどうすべきか考えつかない」、と俺は言った。

アナ訳

Go down the tube は排水管に流れていく感じのイメージでよくわかると思う。

ここでは「見放す」と訳した。

似た表現で、Go down the drain というのもある。

Hey, what happened to the plan?

あ、あの計画どうした?

That plan went down the drain.

例の計画はお流れになった

“But it bothers you.”

でもあなたは心が痛い。

“Sure, it bothers me. But I’m used to that too. The world is full of people I can’t save. I get used to that.. I got used to it on the cops. Any cop does. You have to or you go down the tube too.”

「もちろん心は痛い。でもそれには慣れている。世の中には俺が救うことの出来ない人達がごまんといる。それにも慣れるもんだ。俺は警察官だった時に慣れた。警官なら誰でもそうだ。それが出来ないようなら自分自身がダメになってしまう」

Info

Get used to ~ 〜に慣れる。

“I know,” Susan said.

「そうね」とスーザンが言った。

“On the other hand I may see the kid again.”

そうは言っても、少年にまた会う事もあり得る。

アナ訳

On the other hand は「その一方」だが、つまり、2つの選択肢があって、両方ともあり得ると言うことだ。Aと仮定するが、その一方、Bもあり得る = Aと言ってもBでもあり得る

“Professionally?”

「仕事として?」

“Yeah, the old man will take him again. She’ll try to get him back. They are too stupid and too lousy to let this go. I wouldn’t be surprised if she called me again.”

「そう、親父の方が再び息子を連れて行ってしまう。母親は取り戻そうとする。両親とも愚かでロクでも無い。このままじゃ終わらないだろう。母親が電話をかけてきたとしても驚きはしない」

見出し

“she called me again. と過去形になっているのは実際にはまだ起こっていないことを仮定しているからだ。

仮定法の投稿を参照

“You’d be smart to say no if she does. You won’t feel any better by getting into it again.

「そうだとしたら断る方が賢明だわね。もう一度巻き込まれても気分が良くはならないわ」

“I know, ” I said.

「そうだな」と俺は言った。

We were quiet. I turned off of Route 128 at the Smithfield Center exit and drove to Susan’s house.

我々はしばらく何も言わずに、スミスフィールド・センター出口でルート128を降り、スーザンの家まで車を走らせた。

“I’ve got a bottle of new Beaujolais,” Susan said in the kitchen.

「新しいボージョレーのボトルがあるのよ」、と、キッチンでスーザンが言った。

Yojo
Yojo

 I’ve got an article for you about the expression “have got”. Check it out.

「Have got」の表現 についての記事があるよ。

How about I make us a couple of cheeseburgers and we can eat them and drink the Beaujolais?

「私がチーズバーガーを作るから、それを食べながらボジョレーを飲むってのはどう?」

アナ訳

a couple of ~ は文字通り「〜を2つ」だ。厳密に「2」じゃなくとも、「2つばかり」というニュアンスで使われ事もある。ここでは 「”a” が二つある」、と言う感じで、冠詞的に使われているので、日本語訳では省いてしまった。

“Will you toast my hamburger roll?” I said.

俺のハンバーガーのパンはトーストしてくるかな?

Note

ハンバーガーのパンの部分を、「Bun・バン」と呼んだり、「Roll・ロール」と呼んだりする。厳密に言うと、Bun はイーストをふんだんに使って、甘さを加えて、バターを使ったもの、Roll は甘みがなく、マーガリンやラードを使ったものを言うらしいが、実際にはこれを区別する人はほぼいない。どっちでも良いのだ。僕は個人的にこの区別について疑問に思っていたので、この機会に解明してみた。

“Certainly will,” Susan said. “And who knows, maybe later I will light your fire too, big fella.”

「もちろんよ」、とスーザンが言った。「もしかしたら後で、あなたにも火を付けてあげるかも知れないわよ、大男さん」

Info

Who knows は直訳すれば、「誰が知っているのか」で、実際の意味は「誰にも分からない」となる。この文脈では、「誰にも分からないけれど、もしかしたら〜かも知れない」と言うニュアンスで、冗談のようにほのめかす表現だ。

‘Oh, honeylips,” I said. “You really know how to talk to a guy.”

「甘い言葉だ。君は男に媚びる話し方を知っている」

アナ訳

Honeylips なんて日本語に訳せないよね。

しかしこの会話のやり取りは、半分ふざけて、わざと大仰な表現を使っている。英語で言えば

facetious という形容詞に当てハマる。

She handed me the bottle of wine. “You know where the corkscrew is,” she said. “Open it and let it breathe a little, while I do the cheeseburgers.”

彼女は俺にワインのボトルを渡すと、「コークスクリューがどこにあるか知っているでしょ。栓を開けて、ワインを空気に触れさせて。私がチーズバーガーを作ってる間に」、と言った。

cork screw
Uncorking a bottle of wine

I did.

俺はワインを開けた。

まとめ

こういう、何気ない会話のやり取りは、意外とニュアンスを読み取るのが難しいかも知れない。まさに教科書では出てこない、実際の会話に慣れるためには最適だ。

また、間投詞の “say” などを、自分で話す際にも自然に使いこなせるようになるのは、言葉のニュアンスを完全に掴まなければ出来ない事だ。その積み重ねが「英語が話せる」と言う事なのだ。

次回は第7章を読み始める。ずいぶん来たよね。プロットが進むに連れどんどん面白くなっているはず。次回が待ち遠しい?

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