アメリカの普通の家庭の普通の朝のシーンですね。「ピンポンテーブルがあるファミリールーム」、なんて、いかにもアメリカの郊外の家という描写だ。
今回の投稿では、「10分過ぎ」、「5分前」などの時間の言い方、「the school gets out = 学校が終わる」、そして比喩的にも使える「be stuck」など、日常的に頻出する英語表現を覚えよう。
Early Autumn 「初秋」by Robert B. Parker ロバート B. パーカー
The Giacomin house was on three levels. I had a room on the first. There was a lavatory with a shower across the hall from me.
ジャコミン家は3階建てだった。俺の部屋は1階にあり、ホールの向かいにトイレとシャワーがあった。
トイレ、洗面所を”lavatory” と呼ぶのは最近聞かない。せいぜい飛行機の中ぐらいか?大抵は「bathroom」 か、あるいは「restroom」 と言うのがこの辺では一般的だ(アメリカ西海岸)。

全くの余談ですが:
先日、バーのトイレに近い席にいたところ、若い女性が、”Where is the restroom, do you know?” と聞いてくるので、”Right over there.” と近くのドアを指した。ドアには「W.C.」と書いてある。女性は”What’s W.C.?”と聞く。僕と同席していた全員が “Water closet!” と同時に返答した。
まあ確かにWater Closet とは最近は言わないけれど、知らないの?年齢的なことなのか、たんに酔っ払っていただけか?
There was a family room with a Ping Pong table next to me, and next to the lavatory across the hall was an office where Mel Giacomin had worked out of his house occasionally when he’d lived there.
俺の部屋の隣には、ピンポンテーブルがあるファミリールームがあり、ホールを挟んだトイレの横にはメルジャコミンが住んでいた当時、家で仕事をする際に、たまに使っていたオフィスがあった。
Family room とは客間やリヴィングルームとは異なり、家族が使うレクリエーション・ルームといった感じで、テレビがあったり、ビリヤード台や、ゲームなどが置かれているような部屋だ。半地下(besement)にあることが多い。
The next level was living room with a dining el and kitchen. The third level was a bathroom and three more bedrooms. Patty Giacomin slept up there and so did Paul.
次の階にはL型のダイニングテーブルがあるリビングルームとキッチンがあった。3階には洗面所と3つの部屋があった。パティ・ジャコミンの寝室とポールの部屋はその階にあった。
“a dining el”って何の事だか分かりません!しょうがないから勝手に「L型」の…なんて訳してみました。もしかして印刷の誤植かな?知っている人がいたら教えてください。
Patty slept up there = パティは上の階で寝た = パティの寝室は上の階にあった。
So did Paul = Paul slept up there, too = ポールも上の階で寝た = ポールの部屋もその階にあった。
ちなみに、親のBed roomは通常、master bed roomで、寝室と訳すが、子供のbed room は子供部屋・部屋となる。親にとってはBed room は寝るためだけの部屋だけれど、子供は日中も自分の部屋で過ごす、という違いだ。
The next morning I drove Paul to school at seven twenty-five.
翌日の朝、7時25分に俺はポールを学校に車で送っていった。
He didin’t eat any breakfast.
ポールは朝食を全く食べなかった。
When we left, his mother was in the bathroom with the door closed.
我々が家を出た時は、母親はドアを閉めた洗面所にこもっていた。
I delivered him right at school door.
俺は少年を学校の入り口のドアの真ん前まで送っていった。
When he got out, I said, “What time school get over?”
車から降りる時に、「学校は何時に終わるんだ?」、と聞いた。
He said, ” Five after two, I guess. I don’t know exactly.”
「正確には分からないけれど、2時5分過ぎかな」と少年は言った。
2時5分前は Five to two となる。
I said, “When it gets out, I’ll be right here at this door. Don’t come out another one. Don’t go anywhere with anyone but me.”
「学校が終わったら、俺はこのドアの所で待ってるからな。別の出口から出ないように。俺以外の人とどこにも行くなよ」と俺は言った。
School gets out = 学校が終わる。
これは「学校」が主語の場合に使われる、アメリカの俗語的な表現だ。

He nodded and walked into the school. I noticed his hair wasn’t combed.
少年は頷き、学校へ入っていった。髪の毛が整ってないのが分かった。
I sat in the car and watched him until he was out of sight, then I turned and drove back to Emerson Road.
俺は車の中から、少年の姿が消えるまで見届け、車を回してエマーソンロードへ戻った。
Patty Giacomin was out of the bathroom, bathed and powdered and shiny with makeup.
パティ・ジャコミンはバスルームから出て、入浴して化粧をして、皮膚がテラテラとしていた。
ここでのShinyは比喩的に「輝いて見えた」というより、文字どうりに、湯上りに化粧をして、上気した皮膚が光に反射している様子、と解釈した。
She had on a red apron with yellow flowers and underneath it a maroon silk blouse, white tapered pants, and white sandals.
彼女は黄色の花柄の赤いエプロンを着けていた。その下には小豆色のシルクのブラウスを着て、裾の細い白のパンツ、そして白のサンダルを履いていた。
省略部分を補うと:
—and underneath it, she had on a maroon silk blouse—
There was polish on her toe nails.
足の爪にはペディキュアが塗ってあった。
Coffee was perking in an electric pot, bacon was frying. Toast was in the toaster.
コーヒーが電気のポットに入れられ、ベーコンはフライパンに、トーストはトースターで焼かれていた。
The dining table was set for two and the orange juice was all poured. There was jam out and butter on a plate.
ダイニングテーブルは二人用にセットされ、オレンジジュースは既にグラスに注がれていた。ジャムが出されて、バターは皿にのっていた。
“Sit down,” she said. “The breakfast is almost ready.”
「お座りになって。朝食の用意がほとんど出来たわ」、と彼女が言った。
“Paul doesn’t know what he is missing, going off to school like that.”
「ポールは何も食べずに学校へ行って、何を食べ逃したのか知らないんですね」
“Oh, he never eats breakfast. Hates it. I’m glad actually. He is such a grouch in the morning. How do you like your eggs?”
「いや、ポールは朝食はいつも食べないんです。嫌いなんですよ。私にとっては都合が良いわ。あの子は朝は本当に機嫌が悪いの。卵はどうやってお食べになります?」
“Over easy.”
「オーバー・イージーで」
“Sit,” she said. “It’s almost ready.”
「座って。ほとんど出来たわ」と彼女は言った。
I sat.
俺は席に着いた。
“Drink your orange juice,” she said. “Don’t wait. I’ll sit right down in a minute.”
「オレンジジュースをお飲みになって。すぐに私も席に着きますから、お先にどうぞ」、と彼女が言った。
Don’t wait = 待たないでください = お先にどうぞ
I drank my orange juice. Frozen.
俺はオレンジジュースを飲んだ。冷凍ものだ。
The toast popped. Patty put four slices on a plate, put four more pieces of bread in to toast, and put the plate on the table.
トーストが焼け上がった。パティは4切れを皿に置き、もう4切れのパンをトースターに入れた。そして皿をテーブルに置いた。

“Do you want me to butter it?”
「バターを塗りましょうか?」
“Yes, thank you.”
「ありがとう、お願い」
I buttered the toast. Patty put four strips of bacon and two eggs, over easy, on my plate and put my plate in front of me.
俺はトーストにバターを塗った。パティは、ベーコン4切れと、オーバーイージーの卵2つを俺の皿にもり、俺の前に置く。
She served herself one egg and two strips of bacon. Then she sat down and drank her orange juice.
彼女はベーコン2切れと卵1つを自分の皿にもり、テーブルに着くと、オレンジジュースを飲んだ。
“This is very nice,” I said.
「素晴らしい朝食だ」、と俺は言った。
“Well, if you’re going to be stuck here with a woman and a kid, I felt you should at least be treated right.”
「ええ、女と子供と一緒に、ここに居なけれならないんだったら、少なくともちゃんとおもてなししなくちゃと、と思って」
Be stuck = ハマって、動けない状態
比喩的にも、使えるので便利な表現だ。

Do you want to go out for a dinner tonight?
今夜、外に食事しに行かない?

I am stuck in Covid-mode and don’t want to go out of my house.
すっかりコヴィッド・モードにハマっちゃって家から出たくないのよう。
I poured some coffee first into her cup and then mine.
俺は、まず彼女のカップにコーヒー注ぎ、そして自分にも注いだ。
まとめ
ついに第8章に突入。ゆっくりのペースですが、じわじわと進んでいきます。ゆっくりでも途中で止めなければ良いのだ。
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