[ 最近聞く言葉]「Woke・ウォーク 」の意味すること。良い言葉なのか、悪い言葉なのか?

Spread the Word! エッセイ
Words are very important

以前の投稿で「Critical Race Thoery」や「Sistemic Racism」などについて書いたが、最近よく聞く「Woke・ウォーク」について考えてみよう。不利に扱われる少数派のグループを擁護する言葉なのか?それとも、リベラルを批判するネガティブな言葉なのか?混乱している人も多いようなので、最近のアメリカの「Culture War」に関連してよく聞くこの言葉、Woke について考えてみよう。

Woke ウォークとは何を意味するのか?

因みに、発音「ウォーク」だが、「Walk」では無く、Wake の過去分詞、Wokeであるのを理解しよう。

「起きている=眠ってはいない=知覚している」となる。知覚、認識しているのは

人種差別、偏見だ。

“Stay woke” 起きている状態を持続しろ、つまり、人種差別が起きている事実をしっかりと認識して、それを変えていこうというスローガンは1930年代に黒人文化から生まれた。

近年、問題となっている警察による黒人への暴力に対する反対運動やBLM (Black Lives Matter)により、”Woke”という言葉は一般化し、その後、黒人に対する差別だけではなく、Critical Race Theoryなど、人種差別全体、LGBTQなどのゲイ文化に対する偏見、さらには富の不均一など、社会的に不公平な問題全てを統括し、自由、革新派による改革活動全てを指す言葉となった

I wake up black
A poetic message

現在の Woke のニュアンス

元々の意味や、意向はもちろん理解できる。しかしあまりにも敏感になり過ぎたリベラルの反応は嘲笑されてもおかしく無いレベルに達している。

例えば、昨年、南カルフォルニアの大学での、中国語の講義中での出来事だ。

中国語でよく使われる間投詞、「nei ge」の発音が、英語で人種差別語とされる「Nワード」に非常に良く似ているらしい。その間投詞の説明を聞いていた生徒の一人が、匿名で大学へ苦情の手紙を送った。

その後、大学側はその講義の教師の変更を通知、そして生徒に対して不快な思いをさせた事について陳謝のEメールを出している。

全くポイントを外した、嘲笑に値する出来事だ。革新派の考え全てを「Woke」という括りでまとめてしまう今、「Woke」はこのような「最近の革新派の気違いじみた敏感さ」を象徴する言葉と成り果てたような感がある。

USC professor under fire after using Chinese expression students allege sounds like English slur | CNN
A business professor at the University of Southern California became the center of an international academic controversy last weekend, after ​the school adminis...

 

カルチュラル・ワーの武器は「言葉」だ

もちろん、保守派はあらゆる手をつかって、革新派の理想や政策は「危険な考え」と訴える。Critical Race Theory と同じように、実際の言葉の意味などは関係なく、単にネガティヴなイメージに結びつけてしまえばいい。Woke と言う言葉が反射的に人々に危機感を持たせるようにすれば良いわけだ。

実際、ドナルド・トランプは

You know what woke means, it means you are a loser….Everything woke turns to shit.

と発言している。

Woke の元の意味は、「差別、偏見に苦しむ人々がいる事実を認識する」という事を考えると、この発言は、全く自分が人種差別主義だと公言しているのと同じ事だが、「woke=ダメ・危険」の図式が定着ているので、恐ろしいことに、言葉の実際の意味との関係は薄く、あるいは違うもの、となってしまっている。

アメリカの大統領がこれを言ってしまうのは信じられない。

差別されるマイノリティグループによる反対運動のポイントをはぐらかし、違うポイントに置き換えてしまうその狡猾さに驚かされる。

まとめ

言葉やキャッチフレーズ、スローガンなどは、プロパガンダの確立のためにはとても重要なツールであるのは明白だ。ある言葉のニュアンス、あるいは意味そのものまで変えるなんていう離れ業もインターネットを使えば最近はかなりのスピードで出来てしまうのが恐ろしい。移り変わる言葉のニュアンスを把握するのも難しい。

propaganda

アメリカのCulture War に関連した話題で出てくる「Woke(ウォーク)」を始め、「Cancel culture(キャンセル・カルチャー)」 「Trigger warning(トリガー・ワーニング)」、そして「Identity Politics(アイデンティティー・ポリティクス)」などの言葉もある。今後の投稿で順を追って見ていこう。

単なるイメージや、思い込みで物事を判断したり、人の言ったことを鵜呑みにしたりせず、自分で良く考え、客観的な意見を持つ必要性は現代の社会ではとても重要だ。

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